2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。
その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくANS.の立ち上げに参画。
- メラニンって、そもそも排出できるの?
- メラニンが排出される人とされない人は何が違う?
- メラニンの排出を助けるには、どうすればいい?
この記事を読むあなたは、そう悩んでいるかもしれません。
シミやくすみのもとになるメラニンは、肌が生まれ変わるターンオーバーの働きによって、自然に排出される仕組みを持っています。ところがその流れがうまく回らないと、排出されるはずだったメラニンが肌に残り、シミやくすみとして定着してしまうことも。
この記事では、メラニンが生成されてから排出されるまでの仕組みと、かかる期間、排出を助ける食べ物・スキンケア、逆に妨げてしまう習慣について詳しく解説していきます。メラニンとシミの関係を正しく理解し、ためこまない肌づくりの参考にしてください。
そもそもメラニンとは?肌を守るために生まれる色素
メラニンとは、肌や髪、瞳などに存在する色素のこと。なかでもシミに関わるのは黒〜褐色のメラニンで、原因として悪者にされがちですが、本来は紫外線などの刺激から肌を守る大切な役割を担っています。
紫外線を浴びるとメラニンが増えて肌が黒くなるのは、紫外線が肌の奥に届いてダメージを与えるのを防ごうとする、いわば肌の防御反応です。メラニンがなければ、紫外線によるダメージを直接受けてしまうため、肌にとって欠かせない存在といえます。
問題になるのは、このメラニンが必要以上に作られたり、うまく排出されずに肌に溜まってしまったりしたとき。溜まったメラニンが、シミやくすみとして見えてくるのです。
メラニンが生成される仕組み
メラニンは、表皮の一番下にある基底層のメラノサイト(色素細胞)で作られます。
紫外線などの刺激を受けると、メラノサイトに「メラニンを作りなさい」という指令が届きます。すると、アミノ酸の一種であるチロシンが、チロシナーゼという酵素のはたらきによって変化し、メラニンが生み出されます。
作られたメラニンは、周囲の細胞へと受け渡され、肌の表面に向かって少しずつ押し上げられていきます。
メラニンが排出される仕組み
押し上げられたメラニンは、ターンオーバー(肌の新陳代謝)にのって、最終的に垢となって肌の外へ排出されます。
肌の細胞は、基底層で生まれたあと、形を変えながら表面へと押し上げられ、最後は角質となってはがれ落ちます。メラニンもこの流れに乗って運ばれ、古い角質と一緒に肌から離れていくのです。
つまり、メラニンが正常に排出されるかどうかは、ターンオーバーがきちんと回っているかにかかっているといえます。
メラニンが排出されるまでの期間とターンオーバーの関係
メラニンの排出スピードは、ターンオーバーの周期と密接に関わっています。ここでは、排出にかかる目安の期間を見ていきましょう。
ターンオーバーの周期は約28日が目安
健康な肌のターンオーバーは、約28日周期で行われるのが一般的とされています。
基底層で生まれた細胞が角質まで押し上げられて、はがれ落ちるまでの流れがおおよそ4週間。メラニンもこのサイクルに乗るため、一時的に増えたメラニンであれば、ターンオーバーが正常なら数週間〜数か月かけて徐々に薄くなっていくと考えられます。
ただし、これはあくまで目安。肌の状態や年齢、生活習慣によって、実際の周期には個人差があります。
加齢でターンオーバーの周期は長くなる
ターンオーバーの周期は、年齢を重ねるほど長くなる傾向があります。
20代では約28日だった周期が、年齢とともに40日、50日と延びていくといわれています。周期が長くなると、本来は排出されるはずだったメラニンが肌の中に留まる時間も長くなり、シミやくすみとして定着しやすくなります。
「昔は日焼けしてもすぐ元に戻ったのに、最近は色が抜けにくい」と感じるのは、このターンオーバーの遅れが一因と考えられます。
メラニンが排出される人とされない人の特徴
同じようにメラニンが作られても、スムーズに排出される人と、溜め込みやすい人がいます。その違いは、主にターンオーバーの状態にあらわれます。
メラニンが排出されやすい人の特徴
メラニンが排出されやすいのは、ターンオーバーが正常に保たれている人です。具体的には、次のような傾向があります。
- 睡眠を十分にとれている
- 栄養バランスのとれた食事をしている
- 紫外線対策を習慣にしている
- 肌を強くこすらず、ていねいに扱っている
これらはいずれも、肌の生まれ変わりを支える土台となる習慣です。日々の積み重ねが、メラニンをためこまない肌につながります。
メラニンが排出されにくい人の特徴
一方で、次のような状態にある人は、メラニンが排出されにくくなる傾向があります。
- 睡眠不足や不規則な生活が続いている
- 加齢によりターンオーバーが遅れている
- 紫外線を浴びる機会が多い
- 肌をこする・摩擦を与える習慣がある
こうした要因が重なると、ターンオーバーのリズムが乱れ、排出されるはずのメラニンが肌に滞りやすくなります。心当たりがある場合は、後ほど紹介する習慣から見直してみるとよいでしょう。
メラニンが排出されるとどうなる?
メラニンが順調に排出されると、肌に余分な色素が溜まりにくくなり、くすみのない明るい肌印象へと近づいていきます。一時的に濃くなった日焼けによる色素も、ターンオーバーとともに少しずつ目立ちにくくなっていくことが期待できます。
排出の過程でシミが一時的に濃く見えることがある
ケアを始めた直後に「かえってシミが濃くなった気がする」と感じる場合があります。
これは、肌の奥にあったメラニンがターンオーバーによって表面へと押し上げられ、一時的に見えやすくなっている状態のことも。排出が進む過程で起こりうる変化で、その後ターンオーバーが進むにつれて薄くなっていくケースもあります。
ただし、濃くなり続ける・形がいびつといった場合は、別の要因が隠れていることもあるため、気になるときは自己判断せず医療機関へ相談するのが安心です。
メラニン=シミではない|溜まることでシミになる
ここまで見てきたように、メラニンそのものはシミではありません。
メラニンは紫外線から肌を守るために作られる、誰の肌にもある色素です。正常にターンオーバーが回っていれば、役目を終えたメラニンは排出され、肌に残ることはありません。
問題になるのは、メラニンが過剰に作られたり、排出が追いつかずに肌へ溜まったりしたとき。溜まったメラニンが一部に集中して見えるようになった状態が、シミや雀卵斑(そばかす)と呼ばれるものです。
つまり、シミ対策の本質は「メラニンをゼロにすること」ではなく、作りすぎを防ぎ、きちんと排出できる肌の状態を保つことにあります。
メラニンの排出を助ける食べ物・栄養素
ターンオーバーを整え、メラニンの排出をサポートするには、内側からの栄養補給も役立ちます。意識して摂りたい栄養素を見ていきましょう。
メラニンの生成を抑えるビタミンC
ビタミンCには、メラニンの生成を抑えるはたらきや抗酸化作用が期待されています。コラーゲンの生成を助け、肌を健やかに保つサポートもしてくれる栄養素です。
赤ピーマン・ブロッコリー・キウイ・アセロラなどに多く含まれます。水に溶けやすく熱に弱い性質があるため、生で食べたり、こまめに摂ったりするのがおすすめです。
排出をサポートするビタミンE
ビタミンEは血行を促すはたらきがあり、ターンオーバーを正常に保つサポートが期待できます。抗酸化作用も持ち、ビタミンCと一緒に摂ることで相乗的にはたらくとされています。
アーモンドなどのナッツ類、アボカド、植物油などに多く含まれます。
肌の材料になるタンパク質
タンパク質は、新しい肌細胞を作るための材料となる栄養素です。不足するとターンオーバーがスムーズに行われにくくなるため、肌の土台として欠かせません。
肉類・魚類・卵・大豆製品などからバランスよく摂りましょう。
メラニンの排出をサポートする習慣・スキンケア
食事に加えて、毎日のスキンケアや生活習慣も、メラニンをためこまない肌づくりを左右します。今日から取り入れられるポイントを紹介します。
紫外線対策でメラニンを増やさない
メラニンの排出を考えるうえで、まず大切なのが紫外線対策です。
いくら排出を促しても、紫外線を浴び続けてメラニンが作られ続ければ、追いつきません。日焼け止めはもちろん、日傘や帽子も活用し、メラニンを「増やさない」ことを意識しましょう。紫外線は夏だけでなく一年中降り注いでいるため、季節を問わず対策を続けることが重要です。
摩擦を避けて余計なメラニンを防ぐ
肌への摩擦も、メラニンが作られる原因のひとつです。
洗顔時にゴシゴシこすったり、タオルで強く拭いたりすると、その刺激から肌を守ろうとしてメラニンの生成が促されることがあります。洗顔はたっぷりの泡でやさしく、タオルは押さえるように水分を取るのがポイントです。
十分な睡眠でターンオーバーを整える
肌の生まれ変わりは、睡眠中に活発になります。
睡眠不足が続くとターンオーバーのリズムが乱れ、メラニンの排出も滞りがちに。質のよい睡眠を十分にとることが、結果的にメラニンをためこまない肌づくりにつながります。
メラニンの排出を妨げる食べ物・習慣
よかれと思った習慣が、かえってメラニンの排出を妨げていることもあります。ここでは避けたいポイントを整理します。
糖質・脂質に偏った食事
糖質や脂質に偏った食事は、肌の調子を乱す一因になります。
栄養バランスが偏ると、肌細胞を作る材料やターンオーバーを支える栄養素が不足しがちに。甘いものや脂っこいものばかりに偏らず、ビタミンやタンパク質も意識した食事を心がけましょう。
睡眠不足・喫煙・過度な飲酒
睡眠不足や喫煙、度を超えた飲酒は、ターンオーバーの乱れにつながりやすい習慣です。
特に喫煙は、肌に必要な栄養を届ける血流に影響するといわれています。これらの習慣が続くと、メラニンの排出が滞りやすくなるため、できる範囲で見直していくとよいでしょう。
肌をこすりすぎるスキンケア
「汚れを落とそう」と肌をこすりすぎるケアは逆効果になることがあります。
過度な摩擦は、前述のとおりメラニンの生成を促す刺激となります。クレンジングや洗顔、マッサージのときに力を入れすぎていないか、一度見直してみましょう。
溜まったメラニンが気になるなら医療機関での相談を
セルフケアを続けても、すでに肌に定着してしまったメラニンが気になる場合は、医療機関への相談も選択肢になります。
シミや色素沈着には複数の種類があり、それぞれ適した対処法が異なります。自己判断でケアを続けるよりも、肌の状態を専門家に診てもらうことで、より適切な方法を選びやすくなります。
シミの種類や見分け方は「内部リンク(シミの種類記事)」でも詳しく紹介しています。
処方薬でターンオーバーをサポートする選択肢
医療機関では、肌の状態に応じて、ターンオーバーをサポートする処方薬が用いられることがあります。
医療機関で処方される医薬品には、メラニンの生成を抑える成分や、肌の生まれ変わりを促す成分を含むものがあります。市販品には含まれない有効成分もあり、医師の診断のもとで自分の肌に合った処方を受けられるのが特徴です。
なお、レーザーなどの美容施術は1回あたり10,000円以上かかることが多く、複数回の治療が必要になることも。その点、処方薬による治療は月々の負担を抑えながら続けやすいため、まずは処方薬での治療から検討するのがおすすめです。
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