美容医療のプロに聞く、いま注目の美容法：スキンリファインクリニック篠原秀勝先生

ANS.のインタビュー連載『美容医療のプロに聞く、いま注目の美容法』では、美容医療のプロフェッショナルである医師に、いま注目している美容法について取材。ユーザー様の肌悩みのアンサーの一つとなるような情報をお届けします。

今回お話を伺ったのは「スキンリファインクリニック　院長篠原秀勝先生」です。

スキンリファインクリニック篠原秀勝先生

スキンリファインクリニック篠原秀勝先生

健康で美しくなるためには、菌を意識したケアが大切。

____篠原先生が美容や健康のために心がけていることや、続けているケアがあれば教えてください。

僕は、腸活のために乳酸菌生産物質を飲んでいます。腸内環境が悪くなるとネガティブな思考になったり、免疫力が落ちたりと、心身の調子を崩しやすくなってしまいます。

また、腸内環境と肌は密接に関係していて、腸内細菌の悪玉菌が作り出した物質が血流にのって体の中を巡り、肌荒れを引き起こすという研究結果もあるんですよ。
だから、腸活のサプリメントを飲むことは、美肌作りにも役立つと思います。腸活だけが全てのソリューションとはいえないけれど、大事なものではあることは間違い無いですね。

____最近、腸だけでなく皮膚の常在菌の話題も多くなり、菌に注目が集まっていますね。

そうですね。僕は人間の体は一本のストローのようなものだと思っていて、腸内環境はストローの内側、そして皮膚の常在菌はストローの外側と捉えていて、この二つは表裏一体の深い関係にあります。

健康で美しくいるためには、内側の腸内環境を整えていくことはもちろん大切ですが、同時にストローの外側である皮膚の常在菌にも目を向けるといいと思います。
例えば、ニキビができやすかったりアトピー性皮膚炎をもっていたりと、肌が荒れやすい人は、皮膚の常在菌のうち、悪玉菌が美肌菌（善玉菌）よりも優勢になっていることが考えられます。

だから、皮膚の善玉菌を育てて、悪玉菌を育てないということを意識してケアをすることも大切だと考えています。私たちの体は菌と共存をしているので、健康で美しくいるためにも、ぜひマイクロバイオーム*に着目してみてほしいですね。

*マイクロバイオーム…土壌や水中、私たちの体の表面や腸内に存在している微生物の集団のこと

体や肌に必要な栄養は基本、食べ物から。足りない分はサプリや薬で補う。

____食事では、こういったことを意識した方がいいなどありますか？

栄養学の話は深いので、端的にお話しするのは難しいのですが、基本的にはたんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素に、ビタミンとミネラルを加えた五体栄養素をバランスよく摂るのがいいと思います。

そういう意味では、私たちが昔から食べている、副菜と主菜、ご飯と汁物がある和食定食はとてもバランスがとれていて、身体にもよいと思います。

ただ、昔に比べて農薬などの影響によって土地が痩せ、食べ物の栄養価が下がっているので、ご飯だけで全ての栄養素を補うのも難しいところがあります。
分子栄養学などを勉強されている先生方は、やはりたくさんサプリを飲まれている方が多いですね。基本は食事から、でも足りない分はサプリメントや内服薬などで補うといいと思いますよ。

ニキビは美容医療も含めてトータル的にケアを

____腸活の中でニキビや肌荒れのお話がありましたが、ANS.ユーザーにはニキビに悩んでいる方も多くいます。美容医療ではどういったアプローチができるのでしょうか。

思春期ニキビであれば、保険診療の薬剤でも効果を出すことができますが、大人ニキビはスキンケアやメイク、生活習慣など、さまざまな要因があるので少し治療が複雑になります。

マイルドな治療であれば、ピーリング治療がおすすめで、ダウンタイムもとらなくてよいので、気軽に受けていただけるかと思います。ダウンタイムが取れる場合は、マイクロニードル治療がおすすめです。
毎日のスキンケアでは、ニキビ肌向けのドクターズコスメやノンコメドジェニックのスキンケアを使うのもおすすめですね。

____生活習慣で気をつけることはありますか？

筋トレをするなど、体を動かすといいと思います。体を動かすと成長ホルモンが分泌されるので、美容には絶対にいいものです。あとは脂っこいものを食べすぎないことや、質の良い睡眠をとることなど、できる範囲で生活習慣を整えることが大事ですね。

進化していくテクノロジーとマイクロバイオームの奥深さに惹かれた

____篠原院長が美容皮膚科の道に進まれた理由を教えてください。

幼い頃、ブラックジャックに憧れてね（笑）その少年の夢を叶えるために、形成外科医になりました。形成外科医から美容外科医に転身したのだけど、それもなんだかブラックジャックっぽいでしょう（笑）そうして美容に関わるうちに、ECM製剤（肌の弾力やハリを回復させる注入系の製剤）やレーザーといったテクノロジーの進化や、マイクロバイオームの奥深さに興味が湧いて、美容皮膚科医の道に進みました。

マイクロバイオームって、美容医療の世界だと蔑ろにされがちですが、肌に注射をさしているときも、そこに美肌菌や悪玉菌がいるわけです。
いまは、美容医療とマイクロバイオームは切り離されて考えられていますが、これから密接に関わっていくのではないかと思っています。
単純な美容皮膚科ではなく、美容内科という視点をもったり、健康で美しく生きるためにはどうしたらいいのかといったテーマに、医者として関わっていけたら面白いだろうなと思っています。