体のアップデート時期(※【食欲が止まらないのはなぜ?男女それぞれの波と、体がシステムを更新している理由。】参照)に入ると、「頑張っているのに体重に変化が見られない…」と焦って、つい食事の量を減らしたくなりますよね。
でも、食事制限の力技でなんとかしようとすると、体はスマホの「バッテリー低電力モード」のようにエネルギーをセーブし、かえって日中に力が出なかったり、からだが重だるく感じてしまうことも。
体の内側が準備期間に入っているときこそ、試してほしいのが「夜の環境づくり」です。実は、無理に食べる量を減らすよりも、「夜の温度」を味方につける方が、結果的にからだの元気や健やかな生活リズムを取り戻す近道になることがあります。
なぜ「食事の我慢」だけで解決しようとすると苦しくなるのか

これまでは食事の量を意識して調整されてきたかと思いますが、それだけでずっと頑張り続けるのは、心にも体にも無理が生じてしまうことがあります。
過度な食事制限によって体も心もエネルギー不足(低電力モード)になってしまうと、本来のパフォーマンスを発揮できないだけでなく、代謝リズムが滞り、お腹の張りや慢性的な重だるさに繋がってしまうこともあります。だからこそ、食事の量を減らす力技ではなく、体をしっかり休ませる「別の視点」が必要になるのです。

「ぬくぬくあったか」と「ガンガン冷房」に潜む、意外な落とし穴
ここで、よくある誤解をひとつ紐解いてみましょう。
「冬はあたたかいお布団でぬくぬく」「夏は冷房をガンガンに冷やして」眠るのが一番気持ちいいと思っていませんか。
実は、このように極端に冷やしすぎたり暖めすぎたりすることは、体が休まらないまま朝を迎える原因になりがちです。心地よい温度が保たれていないと夜中に何度も寝返りを打つことになり、翌日のシャキッとしないどんより感に繋がってしまいます。
また、日本の夏は暑さに加えて湿度も高く、この湿気もおやすみ環境を乱す大きな原因になります。同じ室温でも湿度が高いだけで快適な休息がキープしにくくなるというのは、意外な落とし穴かもしれません。

健やかなリズムの土台をつくる、夜の「温度」の設計図
そこで、食事の制限だけに頼るのではなく、
夜の「温熱(温度・湿度)」を整えて質の良い休息をとるアプローチへ視点を変えてみませんか。
以前のコラムでは夜のスマホを控えるという「光の環境」についてお話ししましたが、今回は「温度と湿度」の設計です。
東洋医学では、古くから「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」といって、頭を涼しく、足元をあたたかく保つことが健康に良いと伝えられてきました。これは、手足からのスムーズな放熱を優しくサポートし、深い休息の環境を整えるために非常に理にかなっています。

枕元に心地よい涼しさのタオルを用意して頭の後ろを軽く冷やしたり、通気性の良い枕カバーを使用する。
シルクやコットンなどの通気性の良いレッグウォーマーを着用したり、足元だけ布団を少し重ねて暖める。
就寝前に目の周りを約40℃の蒸気シートなどで20分間じんわり温める。
特に目元を心地よく温めることは、夜のリラックスタイムをより豊かなものにしてくれます。冷房のタイマーを使う場合は、睡眠前半の「4時間」は温度と湿度を一定に保つことが、途切れのない深い休息を得るコツです。

これは、大事な日の前に無理をして徹夜するよりも、前夜に心地よい休息をとって心身をリフレッシュさせておく方が、当日に穏やかに過ごせるのによく似ています。
(※夜のスマホを控えるについては以下の記事を参照。
【夜のその食欲、実は「脳のエネルギー不足」かも】)
明日のあなたに、心地よいゆとりをプレゼント

からだの変化を感じにくい時期は、体が次のステップに向けてバランスを整えている大切な「地固め」の期間です。
最近ではスマートウォッチなどのトラッカー機能で「睡眠のステージ(深い睡眠や浅い睡眠のバランス)」を見られるものもありますので、自分の夜の状態を知る参考として宝探しのようにチェックしてみるのも面白いかもしれません。
「今すぐなんとかしなきゃ」と自分を追い込まず、まずは今夜の環境を少し整えて、明日の自分にゆとりをプレゼントしてみませんか。温度や湿度の見直し、目元への温めなど、入り口はどこからでも構いません。
ご自身の生活に合わせて、心地よく試せそうなものをひとつ選んでみてくださいね。
※各項目の数値は、公的な身体活動指標や食品成分表に基づいた一般的な目安です。
※本記事は、一般的な生活習慣情報の提供を目的としており、特定の治療法や薬剤の効果を示すものではありません。体調や治療方針については、必ず担当医にご相談ください。
【参考情報】
日本睡眠学会:睡眠環境(光環境・温熱環境)について
Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. “Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm.” Journal of Physiological Anthropology, 2012.
