ANS.のインタビュー連載『美容医療のプロに聞く、いま注目の美容法』では、美容医療のプロフェッショナルである医師に、いま注目している美容法について取材。ユーザー様の肌悩みのアンサーの一つとなるような情報をお届けします。
今回お話を伺ったのは「シェリークリニック新宿本院 統括院長 勝沼栄明先生」
シェリークリニック新宿本院 統括院長 勝沼栄明先生
美意識が高い方ほど注意したいオーバートリートメント
ーー勝沼先生ご自身が、美容や健康で心がけていることを教えてください。
日焼け対策です。やはり紫外線の肌への影響は大きいので、日焼け止めをしっかり塗ったり、日陰を歩いたりしていますし、最近は日傘も使っています。光老化には特に気をつけていますね。
子供の頃はアトピー性皮膚炎も日光アレルギーもあったので、紫外線だけは避けていました。医師になってからは忙しくて、日が昇る前に出勤して日が落ちてから帰宅するという生活が長かったこともあり、人よりも紫外線を浴びてきていないと思います。
紫外線は、体にとってはビタミンDの生成など良い面もありますが、浴びすぎるのは良くありません。顔などの焼けたくないところはしっかり守ってほしいですね。
また、とても基本的なことですが肌を擦らないことも大切だと思います。
ーー日焼け止めを塗ることや肌を擦らないことの重要性について、最近は広く知られてきていると思います。それに伴い、実際に患者様の肌も変わってきたのでしょうか。
これだけ多くの発信がされていても、まだできていない方が多いように感じます。また、肌を気にしすぎてお手入れをやりすぎてしまう、オーバートリートメントの方も目立ちますね。自分の肌がどういう状態なのかを把握しないでやりすぎてしまうので、望む結果が得られません。
肌はそれ自体が一つの臓器なので、元々はバリア機能がしっかりしているし強いものなんです。それなのに、スキンケアや美容医療をやりすぎて、元来備わっている強さを削いでしまっているんですね。
例えば、最近レチノールが流行っていますが、レチノールは使いすぎると肌が薄くなっていくんです。ターンオーバーを早めるものなので、どんどん角質が剥けていき、バリア機能が低下して刺激を受けやすい肌になってしまいます。
レチノール自体はとてもよい成分なので、医師の指導のもとご使用いただくのが良いかなと思います。
ーー今は美容情報が溢れているので、「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」という気持ちになっている方が多いかもしれませんね。
そうですね。だからこそ、僕は「あなたにはこんな治療・スキンケアが合っていますよ」という道筋を作ってあげなければいけないと思っています。また「とにかく肌を良くしたい」と言われても、全部を一度に治すことはできません。一つひとつターゲットを絞って、順番に立て直してあげて、患者様の力になりたいですね。
最近は「シミを治したい」「赤みが気になる」というお悩みベースのご相談よりも、自分で「この施術を受ける」と決めてから来院される方が多いです。
SNSなどでキャンペーンメニューをご覧になっていらっしゃる方もいます。もちろんそれも悪いことではないのですが、患者様の肌状態によってはその施術をおこなえない場合もありますので、自己判断せず、プロの意見をしっかり聞いていただきたいです。まずはカウンセリングにお越しいただき、肌悩みをお聞かせください。
最近は本当にさまざまなクリニックがあり、美容に携わるドクターも増えています。経験の差もあるので、信じられる医師を見つけて、かかりつけ医のようになんでも相談できるクリニックがあれば理想的ですね。
オペに近いニキビ痕治療・サブシジョンとは?
ーー先生が今注目している美容医療について教えてください。
当院には、多くの方がニキビ痕の治療にいらっしゃいます。ニキビ痕治療としてはフラクショナルレーザー、ダーマペンなどがよく知られていますが、それでも治らない重度の方に対して提案しているのがサブシジョンです。
サブシジョンは、皮膚の下にあるニキビ痕の固くなってしまった組織を剥がし、くぼみ部分を上に持ち上げて、クレーター状のニキビ痕を改善する治療です。サブシジョン専用のカニューレ(先が鈍く長い針)を皮下に刺して、ニキビ痕を剥がしていき、剥がれたところが戻らないようにヒアルロン酸を注入して持ち上げます。
フラクショナルレーザーやダーマペンが外からのアプローチになるのに対して、サブシジョンは中から外科的なアプローチができます。オペに近い施術になるためダウンタイムが長く、出血もあって腫れますが、良い結果が出ると思いますよ。中には2回以上必要な方もいらっしゃいますが、僕は基本的に1回で治すことを考えて施術しています。
サブシジョンを扱っているクリニックはまだ少なく、僕たちも試行錯誤で始めましたが、取り入れてみてよかったです。
シミ治療は内側からのケアも大切
ーークレーター治療は難しいと聞くので、お悩みの方にはうれしい施術ですね!ニキビ痕の他には、どのようなお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいますか?
一番多いのは、シミにお悩みの方ですね。女性はもちろん、男性でもシミの治療を希望される方が増えています。治療には、ピコレーザーとルメッカをよく使っています。
レーザーは基本的に狭く深く当てるイメージですが、光治療のように遠くから優しくシャワーを当てるような感じで治療できるレーザートーニングというものもあります。肌にダメージが少ないので、肝斑の部分にも当てられますね。
ルメッカは光治療なので、広く浅くといったイメージです。そばかすのような、表面上にパラパラと点在したものには非常に効果があります。また、赤みにもおすすめの治療です。赤ら顔にも種類がいろいろとあるので一概には言えませんが、比較的効果はあると思います。
全体的な色ムラや肝斑、くすみが気になる方にはトーニング、大きいシミ、目立つシミが気になる方はレーザー、そばかすが気になる方はルメッカというように使い分けています。
ーー夏にシミや肝斑の治療を受けるのは良くないという話も聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?
ピコトーニングやルメッカのような肌へのダメージが少ない治療であれば問題ありません。ダウンタイムがあるスポットレーザーのような治療は、炎症の痕がシミのように濃くなって残ることもあるので秋以降がおすすめですね。
あと、肝斑にお悩みの方にはトラネキサム酸などの飲み薬もおすすめしています。患者様の治療経過を見てもトラネキサム酸は肝斑にすごく有効だなと感じています。
トラネキサム酸に加えて、抗酸化力の高いビタミンC(シナール)、代謝を上げるビタミンE(ユベラ)などもおすすめです。毎日のスキンケアや美容医療による治療に加え、飲み薬を飲んでいる方は治療の進みがいいですよ。
人生100年時代、豊かな老後を送るために欠かせない美容
ーー先生のご経歴や、形成外科の道を選んだ理由を教えてください。
元々子供が好きだったこともあり、小児科を目指して医学部に入りました。当時は形成外科についてよく知らなかったのですが、実習の際、大学病院の形成外科は患者の4〜5割が子供で、口唇裂、口蓋裂、多指症などの先天奇形を治すオペを行っていることを知ったんです。そこで、小児科以外にも子供を救ってあげる道があるとわかり、子供を助けたいという想いから、形成外科(小児形成)に進みました。
形成外科で経験を積む中で美容医療にも興味を持ち、美容クリニックでの勤務を経て、現在に至ります。
ーー多くの患者様の美しさをサポートされていらっしゃると思いますが、どのような点にやりがいを感じていらっしゃいますか?
今は人生100年時代と言われていますが、豊かな老後を送るために、やはり美容は欠かせないと考えています。綺麗でいられるとモチベーションが上がるし、性格も前向きに変わりますよね。
僕は美容医療で患者様の人生を助けているなと感じています。これからも、美容を通じて患者様の人生をサポートしていきたいです。
シェリークリニック 新宿本院
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