ANS.のインタビュー連載『美容医療のプロに聞く、いま注目の美容法』では、美容医療のプロフェッショナルである医師に、いま注目している美容法について取材。ユーザー様の肌悩みのアンサーの一つとなるような情報をお届けします。
今回お話を伺ったのは「医療法人 優桜会 千里中央りょうこスキンクリニック美容・形成外科 西林涼子先生」
医療法人 優桜会 千里中央りょうこスキンクリニック美容・形成外科 西林涼子先生
1ヶ月で60回。スキンケアも立派な治療の一つ
ーー西林先生ご自身が、美容や健康のために心がけていることを教えてください。
スキンケアは、擦らないことを常々心がけています。極力肌を触らないよう、スキンケアのアイテム数は少なめです。キーになるアイテム2〜3個だけで終わらせたり、クレンジングも泡のタイプを使ったりしています。メイクする時もできるだけシンプルにするように気をつけています。
化粧品は本当にさまざまなアイテムがあるので、いろいろ使おうとすると6〜7ステップになってしまうこともありますが、そもそも何度も肌を触って刺激を与えること自体、あまり良いことではありません。
実は患者様の中でも、美意識が高い方ほど肌をくすませていることが多いんです。いくつも化粧品を使っていたり、毎日美顔器を使っていたりすると、摩擦や炎症で肌の赤みやくすみが出やすく、逆に何もしていないちょっとズボラな人の方が、意外と肌のキメが細かいこともあります。肌に触れる回数が、肌の美しさに直結しているなと感じますね。
スキンケアは毎日朝晩1回ずつ、1ヶ月で60回することなので、私は立派な治療の一つだと考えています。自宅でできる最大限の治療になるように、やり方と使うものを間違えないようにということを患者様にもお伝えしていますし、自分でも意識しています。
ーー患者様の中には「肌を擦らないという感覚がわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
おっしゃる通りで、患者様の多くは「擦る」というと肌をゴシゴシすることだと思っていらっしゃいます。実際は、優しく横に撫でるだけでも擦ってしまっていることをわかってもらうのが難しいですね。
「できるだけ横に動かさないように」と方向の感覚をお伝えすると、ファンデーションのスポンジやブラシも横に動かしている方が多いので、横の動きで擦っていたんだと気づいてもらえます。
1回触ったところから動かさずに押し込むようにする、プレス・プッシュという言葉を使って説明すると、患者様にもイメージを理解していただきやすい印象があります。
ーー先生ご自身は、どういったステップでスキンケアをされていらっしゃいますか?
化粧水、その時々に合わせた美容成分の美容液(ビタミンCなど)、クリームの3ステップです。クレンジングで擦らないように、石けんでオフできるメイクを推奨する先生もいらっしゃいますが、あまり厳しく制限してしまうとちょっと息苦しく感じてしまうでしょう?
私はクレンジングを泡タイプにして優しくオフするといったように、普段のメイクは楽しみつつ、無理なく肌への負担を抑えるようにしています。
ーーサプリメントなどの内服はどのようなものを摂り入れているのか教えてください。
ビタミンCとビタミンDの合剤や、夏は飲む日焼け止めを飲んだりしています。日焼けした時やくすみが気になった時は、トランサミンを飲むこともありますね。毎日肌の状態は違うので、毎朝毎晩、洗面所の鏡で肌を観察して、必要なものを取り入れるようにしています。
毛穴の乱れがないか、くすんでいないかなど、しっかり見るようにしているので、毎日の変化に気づきやすいと思います。目を逸らさず、現実を見て、自分の肌に向き合うことが大事です。
ーー内服薬はつい飲み忘れてしまうこともあると思うのですが、先生が飲み忘れを防ぐために工夫されていることはありますか?
私の場合は、1日3回必ず飲まなければという考えをやめて、ガチガチにしすぎないようにしていますね。もちろん1日の必要量をきちんと飲むことがベストではありますが、朝だけは絶対飲む・夜だけは忘れないようにするなど、飲む習慣が少しでもあればそれだけで偉いと思うようにしています。
患者様にも、同じような考えで指導しています。「朝昼晩飲まなければ効果がない」と思わせてしまうと、昼に飲み忘れただけで辞めてしまう方もいらっしゃるんです。内服は細々とでも飲み続けることの方が大事なので、できる範囲で飲み続けていただきたいですね。
治療は、クリニックケア・ホームケア・内服薬の三本柱
ーー貴院に来られる患者様は、どういった肌悩みを抱えていらっしゃる方が多いのでしょうか?
一番多いのはシミのお悩みです。日光性のものだけでなく、肝斑や炎症性の色素沈着、そばかすなどいろいろな病態が混ざっていることが多いので、まずこのシミが何なのかを医学的にときほぐしてから、①クリニックでのケア ②自宅ケア ③内服薬の三本柱で治療することをお伝えしています。
特に肝斑やくすみでお悩みの方は、どれか1つ頑張るだけでは難しいので、スピード感をもって理想の肌にしていきたいのであれば、この3つをしっかりする必要があります。ただ、さまざまな事情でクリニックに来るのが難しい方や、内服ができない方もいるので、できない分は他の比重を大きくして治療していくことを提案していますね。
ーーシミやくすみ、肝斑などが気になっている方は、どういった治療を受けられますか?
ピーリング、レーザー、エレクトロポレーションのうち1つをするか、組み合わせることが多いです。
中でもピーリングは、サリチル酸・グリコール酸・マヌカハニーピール・ミラノリピール・マッサージピール・リバースピールなど種類豊富に揃えています。患者様の肌の状態、キャラクター、美容の施術歴などを確認して、その方に適したものを選んでいますね。
最近はララピールが人気です。肌に優しくて剥離もないので、初心者にもおすすめですよ。
ーー肝斑の方は刺激を与えてはいけないといいますが、ピーリングは刺激になりませんか?
正しくやれば刺激になることはほとんどありません。肌表面の無駄に分厚くなったごわつきを取ることができるので、透明感が出ます。代謝も促進してくれますし、色素も外に出してくれるので、肝斑の方にとっても良い治療法だと思います。
ただ、ホームケアでスクラブやゴマージュなどを使うのはおすすめしません。くすみやごわつきが気になると使われる方も多いのですが、刺激が強いのでやめていただきたいです。
患者様にも、クリニックでのピーリングと、スクラブやゴマージュは全く異なるものだということを説明しています。
ーー先生が今お気に入りの美容医療があれば教えてください。
ニードルRF(ポテンツァ)です。とても万能で、ダーマペンと高周波レーザー、水光注射のような治療が一気にできます。それぞれを重ねて受けたらダウンタイムがとても大変になると思いますが、ニードルRFの場合はダウンタイムが少なく済みますし、相乗効果で良い結果が出やすいですね。
さまざまなモードがあって、ニキビやクレーター、今までは難治性だった眼周りの汗管腫(つぶつぶした小さいイボ)などにも効くので本当に万能なんですよ。
肌に優しい肝斑モードもあります。針で穴を開けて優しい高周波を出すことで、活発になったメラノサイトを抑えて、肝斑やくすみを取り去ってくれます。昔は肝斑の治療というとトーニングが主流でしたが、今はニードルRFに切り替わってきていますね。
美容皮膚科は心療内科、美容外科は心療外科。気持ちのコンプレックスを治したい
ーー先生が今の皮膚科の道に進まれた理由を教えてください。
肌がキレイになったことで、気持ちも顔色も明るくなって、外に出れるようになったような経験は、誰しもあると思います。もちろんその逆もありますよね。
私自身も、思春期の頃や産前産後にニキビや肌荒れに悩んで、外に出るのがとても嫌だったんです。メイクで厚塗りして隠して悪化するという悪循環に陥ったこともありました。鏡を見るのも嫌で、自己肯定感が下がる気持ちも知っています。
なので、その見た目の悩みを治すお手伝いをしたいなと思ったことがきっかけで皮膚科・形成外科に進みました。
美容は気持ちのコンプレックスを治すことができるので、美容皮膚科は心療内科、美容外科は心療外科ともいえると思います。
ーー確かに、美容が気持ちにもたらす影響力は大きいですよね。
見た目に悩みがあって、ネガティブになっている方を1人でも多く救えたら、社会が明るくなるのではないかなと思っています。
実際の患者様でも、手術を受けてから自分を好きになって、新たに事業を始めた方がいらっしゃいました。女性の社会進出までサポートできるなんて、すごく良い仕事だなと感じています。
医療法人 優桜会 千里中央りょうこスキンクリニック美容・形成外科
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