2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。
その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくANS.の立ち上げに参画。ANS.クリニック院長。
この記事を読んでいるあなたは、
- 肝斑って治るの?
- 女性ホルモンがどう肝斑に影響するの?
- 女性ホルモンのバランスを整えたら肝斑は消えるの?
上記のように考えているかもしれません。
肝斑の原因に「女性ホルモン」が関連していることは有名ですが、具体的にどのように影響しているのでしょうか。
実は肝斑の原因は、医学的には未だ解明されていません。
しかし、女性ホルモンが影響していると考えられていることには理由があり、数多くの症例も存在しているのです。
この記事では「女性ホルモンと肝斑の関係や、ホルモンバランスの整え方、肝斑の治療方法」などについてお伝えします。
肝斑に悩む人や、今あるシミが肝斑かもしれないと悩んでいる人はぜひご覧ください。
肝斑とは?
肝斑の特徴と原因
肝斑とは、左右対称にできる輪郭のはっきりしないシミで、ほほ骨の下や目尻に沿ってできます。
30代から50代に発生することが多く、閉経とともに薄くなることも、特徴のひとつです。
肝斑は、体内にある女性ホルモンが原因でできると考えられているため、女性にできやすい特徴がありますが、男性でもできます。
現時点では、肝斑の原因は女性ホルモンの影響であると考えられていますが、実は紫外線による刺激も肝斑を悪化させる原因のひとつです。
また、摩擦による刺激も、皮膚のバリア機能を低下させるため、肝斑を悪化させる原因になってしまうのです。
できてしまった肝斑は、閉経とともに薄くなる傾向にありますが、基本的には自然に治ることはありません。
他のシミとの違い
肝斑と他のシミとの違いは、左右対称にできることと、境目がはっきりしないシミであることです。
一般的にシミとは老人性色素斑(日光性色素斑)のことをいい、境目がはっきりしていて、左右対称にはできません。
シミは、紫外線を浴びたり、皮膚のバリア機能が低下したりすることが原因でできます。
また、シミの中にはそばかすや炎症後色素沈着などもありますが、どちらも左右対称にはできません。
しかし、シミの一種である後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、左右対称にシミが表れ、頬や額などにできます。
そのため、肝斑との区別が難しいのですが、肝斑は皮膚の表面が原因であるのに対し、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は皮膚の奥である真皮が原因とあるのです。
このためADMは内服薬や外用薬の効果が弱く、皮膚の奥まで届くタイプのレーザーによる治療が必要となります。
シミによってできる原因や特徴が違うため、治療法や対処法も違い、専門家でなければ判断しにくいといえるでしょう。
女性ホルモンと肝斑の関係
女性ホルモンの働きと肝斑の生成
肝斑の原因には、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)が大きく影響しています。
女性ホルモンが発症の原因であることはよく知られていますが、実は医学的に原因は解明されていません。
しかし、肝斑は妊娠中や産後にできやすく、月経不順や経口避妊薬(ピル)の服用がきっかけで症状が悪化するケースも少なくありません。
アメリカでは、ピルを内服している女性の約29%に肝斑の発症が報告されていることから、ピルに含まれるエストロゲンやプロゲステロンが肝斑の発症に関わっていると推測されています。
また、閉経を迎えて女性ホルモンが減少する50代後半以降は症状が軽くなることや消える場合があること、高齢になってからの発症が極めて少ないこともわかっています。
よって、医学的には解明されていませんが、肝斑と女性ホルモンは密接な関係であると考えられているのです。
(参照:いわゆる「しみ」(肝斑など)の発症機構とその憎悪因子に関する研究 )
女性ホルモンのバランスの乱れと肝斑
前述した通り、肝斑と女性ホルモンは関係が深いため、女性ホルモンのバランスが乱れることで、肝斑を悪化させてしまう可能性が高いのです。
女性ホルモンは、環境の変化やストレス、食生活などの生活習慣により簡単に乱れてしまいます。
それだけでなく、避妊薬の使用やガンの治療法として知られるホルモン療法などでも、女性ホルモンが乱れてしまう可能性があるのです。
また、妊娠や出産、月経など、直接女性ホルモンが関わる女性特有のできごとなども、ホルモンバランスに大きく影響します。
特に妊娠中は、女性ホルモンのバランスが複雑に変化するため、薄かったシミが目立つようになることがあるでしょう。
このような妊娠中にできる肝斑を「妊娠性肝斑」といいます。
女性のホルモンバランスは非常に繊細であるため、さまざまなことがきっかけで乱れが起こり、肝斑の原因になってしまうのです。
女性ホルモンが乱れているかも?
女性ホルモンが乱れているかもしれないと感じている人は、以下の項目をチェックしてみてください。
- 月経不順
- 月経痛がひどい
- 月経の際にどろっとした血液の塊が出る
- 疲れやすい
- 疲れがとれない
- 顔や手足がむくみやすい
- 手先や足先などが冷えやすい
- 過労や睡眠不足が続いている
- 肌荒れや吹き出物がよくできる
上記のような症状がひとつでもあれば、ホルモンバランスが乱れているかもしれません。
特に、月経に関することでの悩みがある人は、ホルモンバランスが乱れている可能性が高いでしょう。
ホルモンバランスの乱れは肝斑の原因になるだけでなく、あらゆる不調の原因になるので、医療機関への受診をおすすめします。
女性ホルモンによる肝斑の治療法
ホルモンバランスの整え方
ホルモンバランスを整えるためには、食事や運動などの生活習慣を見直し、規則正しく生活することが大切です。
食事に関しては「必ずホルモンバランスが整う食べ物」はありませんが、たんぱく質や野菜、炭水化物や良質な油をバランスよく摂取するとよいでしょう。
また、食事は栄養素だけでなく、量や摂取する時間帯も重要で、過度な飲酒はおすすめできません。
腹8分目を意識したり、夜遅くに食べることをやめたりするだけでも、体によい変化が起こるでしょう。
さらに、ホルモンバランスを整えるために食事と同じくらい大事なことは、良質な睡眠をとることです。
まずは睡眠時間を確保すること、そしていつも同じ時間に起きて同じ時間に寝ることで、生活のリズムを整えられます。
質の良い睡眠のためには、適度な運動も大切なので、さまざまな要因によって規則正しい生活が成り立つといえるでしょう。
医薬品と治療法
肝斑の治療には、まずは内服薬と外用薬が用いられることが多く、医薬品による効果は十分に期待できます。
肝斑の治療薬として有名なトラネキサム酸をはじめ、ビタミンCやハイドロキノンなどを組み合わせて治療することもあります。
薬の種類 | 効果 |
---|---|
トラネキサム酸 | 内服薬で肝斑やシミ、そばかすを薄くする効果が期待でき、抗炎症作用にも優れています。 色素沈着抑制効果をもつため、特に肝斑には医学的な効果が認められており、シミの予防にも用いられます。 |
ビタミンC (シナール配合錠など) |
ビタミンCはシミやくすみの原因になるメラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぎます。 シナール配合錠は、ビタミンCとその吸収を助けるパントテン酸が含まれた内服薬です。 |
ハイドロキノン | ハイドロキノンは外用薬で、漂白作用により、今あるシミを白くします。 メラニン色素に直接働きかけるため、シミやニキビ痕の原因を強力に抑制する効果が期待できます。 |
肝斑は、医薬品による治療の効果が認められているため、早く対処したい場合には医薬品を使用することが望ましいといえます。
しかし、市販の医薬品は大衆薬であるため、治療の効果がまちまちな場合が多く、治療が長引く可能性もあるでしょう。
早く適切に対処したい場合は、自分の肌状態に合わせた「処方薬」での治療をおすすめします。
肝斑の治療では、肝斑に効果的な処方薬だけでなく、症状に関連する処方薬を組み合わせて治療が行われます。
その結果、肝斑だけでなく、他のシミにも効果が期待でき、さまざまな肌悩みが同時に解決する人も珍しくありません。
処方薬は、医療機関でしか手に入れられないので、肝斑かも?と思っている人は、一度皮膚科や美容皮膚科で診療を受けましょう。
自宅でできるケア方法
肝斑を早く治すためには、医療機関の受診をおすすめしますが、自宅でもケアがしたい人やすぐに皮膚科に通えない人もいるでしょう。
そんな人におすすめのスキンケアアイテムは、有効成分が配合された医薬部外品で、肝斑に効果的な成分が配合されているものです。
具体的にはトラネキサム酸やビタミンC、またはハイドロキノンで、医薬部外品に配合されています。
医薬部外品は、厚生労働省に効果が認められている有効成分が配合されているので、多少の改善は実感できるでしょう。
しかし、肝斑に関しては、ホルモンバランスが大きく影響しているため、根本的な解決ができるとはいえません。
ただし、肝斑が存在する肌にはシミも混在している場合が多いため、ある程度の効果が期待できるケア方法といえるでしょう。
セルフケアの注意点
セルフケアで最もやってはいけないのは、処方薬と同じ成分のアイテムを、海外のサイトなどから個人で輸入して購入することです。
処方薬と同じ成分であっても、安全性が不明で、副反応によって肌状態を悪化させてしまう可能性があります。
一部の人にとっては効果があったとしても、万人に効果があるわけではなく、むしろ危険性が高いのです。
処方薬と同じ成分であっても、症状が悪化する場合があるので、自己判断でむやみに使うことはやめましょう。
また、肝斑を消したい一心で、肌を強くこすって摩擦を与えてしまうことも、悪化させてしまう要因になります。
摩擦は、肌のバリア機能を低下させ、シミや肝斑の原因であるメラニンをより生成させてしまうのです。
特に、クレンジングや洗顔などの落とすケアでは摩擦が発生しやすいので、こすらず優しく丁寧におこないましょう。
女性ホルモンと肝斑の予防策
日頃のUV対策
肝斑の原因には女性ホルモンが関係していることは説明しましたが、紫外線も肝斑を悪化させる要因のひとつで、肝斑の原因であるメラニンを発生させます。
紫外線を浴びることで、体内に存在するメラニンが活性化し、肌表面にシミとして表れます。
春から夏の紫外線が多い季節はもちろん、紫外線は年中出続けているので、シミを作らないためのUV対策は必須です。
日焼け止めや日傘だけでなく、サングラスや帽子を身につけるなど、できるだけ紫外線に当たらないように対策しましょう。
また、飲む日焼け止めや内服薬などを使用した、内側からのケアも効果的です。
紫外線は、あらゆる肌悩みの原因となるので、日頃からUV対策をする習慣を身につけておきましょう。
ホルモンバランスを整えるライフスタイルとは
ホルモンバランスを整えるライフスタイルを実現するためには、良質な食事や睡眠が必要不可欠で、さらにはストレスを軽減させることが重要です。
ストレスは、脳からのホルモン指令を乱す要因となり、卵巣の動きが低下し、女性ホルモンの分泌が悪くなります。これによって無月経となってしまう方もいるくらいです。
ホルモンバランスが乱れることで、シミや肝斑などの悪化はもちろん、他の肌悩みにもつながるでしょう。
ストレスを軽減するためには、リフレッシュできる時間を作り、心身の疲れを癒すことが大切です。
また、良質な食事や睡眠、適度な運動も、ストレス軽減に役立ちます。
規則正しい生活を心がけ、心身をリフレッシュさせることで、ホルモンバランスは次第に整っていくでしょう。
女性ホルモンのバランスを整えて肝斑を予防しよう
肝斑の原因は、医学的には解明されていません。
しかし、女性にできやすいことや、女性ホルモンのバランスが乱れやすい時期に発生することから、女性ホルモンと肝斑は密接な関係にあることがわかります。
そのため、女性ホルモンのバランスを整えることで、肝斑の予防ができるでしょう。
肝斑は、閉経などでない限りは、自然に消えることがないので、今ある肝斑に関しては治療が必要です。
予防はセルフケアでも可能ですが、治療には医薬品を使うことが望ましいので、今肝斑に悩んでいる人は治療を検討してみてくださいね。
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