2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。
その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくANS.の立ち上げに参画。ANS.クリニック院長。
頑固なニキビが次々にできる人や、これまでいろんなスキンケアを試してきたけれどニキビが悪化してしまった人など、ニキビに悩む人は多くいます。
そんなニキビの治療薬として使われているペピオゲル。
ニキビの原因に対して、ペピオゲルはどんなはたらきをしてくれるのでしょう。
本記事では、ペピオゲルの作用をはじめ、その作用がニキビへどのようにはたらくのか、ニキビ治療に効果的な正しい使用方法などを徹底的に解説します。
その中で、ペピオゲルを使用すると肌が赤くなると言われている理由についても紹介します。
ニキビに悩む人は、本記事で正しい知識を身につけ、ニキビに適切に対処できるようにぜひ最後まで読んでください。
ニキビの治療薬として使われるベピオゲルとは
ニキビの治療薬として使われるペピオゲルの成分や作用から、なぜニキビの治療に使われるのかを解説します。
処方薬なので、基本的には医師の指示に従っての使用となりますが、薬の知識をもって使うことでより効果的な使い方ができるでしょう。
そもそもなぜニキビはできるのか
ニキビのできる原因は、角栓のつまりです。
ではなぜ角栓がつまるのでしょうか。
角栓がつまる原因はさまざまですが、一般的には以下の項目のように考えられています。
- 皮脂の分泌が過剰
- ターンオーバーの乱れ
- 乾燥
- メイクなどの汚れ残り
ニキビ発生の原因は角栓のつまりで、角栓が詰まることで皮膚の内部で皮脂が増殖すると白ニキビ(面皰 めんぽう)が生じます。
ここでアクネ菌も増殖していきます。
アクネ菌は誰もがもっている皮膚の常在菌ですが、増殖したアクネ菌はニキビの炎症を引き
起こし、赤ニキビに変化します。
放っておくと、皮膚内部で炎症が広がっていき、重症化するとニキビ跡に発展する可能性があります。
ちなみに、ニキビと吹き出物というワードは、大人になるにつれて言い方を変えて使われますが、違いはありません。
ニキビも吹き出物も正式な名称は「尋常性痤瘡」と呼ばれ、どちらも同じように皮膚の病気として扱われています。
ペピオゲルの成分と作用
ペピオゲルの主成分は過酸化ベンゾイルで、1g中に25mg(2.5%)が配合されています。
過酸化ベンゾイルには、抗菌作用と角質剥離作用があります。
①抗菌作用
ペピオゲルに配合される過酸化ベンゾイルは、ニキビの原因に関与しているアクネ菌とブドウ球菌(黄色ブドウ球菌)に対する抗菌作用が認められています。
②角質剥離作用
ペピオゲルに配合される過酸化ベンゾイルは、角質細胞(皮膚の最も外層に存在する細胞)同士の結合をゆるめ、剥離を促します。
ペピオゲルがニキビ治療に使われる理由
ペピオゲルは、ニキビの原因である角栓のつまりをゆるめて剥離をうながすこと、アクネ菌に対する抗菌作用があることから、ニキビ治療に用いられています。
さらに、ペピオゲルの特性から、炎症が起きていないニキビや面皰(白ニキビ)への効果も期待できます。
今できているニキビにはもちろん、今後のニキビ予防としても使用され、繰り返すニキビの治療にも効果的です。
他のニキビ治療薬との違い
赤ニキビ治療として多く用いられる外用薬である抗菌薬とペピオゲルの大きな違いは、薬剤耐性菌ができない点です。
一般的な抗菌薬は、長期間の使用により、薬に対して耐性をもつ細菌に変化する可能性があります。
このため赤ニキビが治ってからも抗菌薬の含まれる外用薬を使い続けることは好ましくありません。
しかし、ペピオゲルは、活性酸素のフリーラジカルが細胞膜や酵素、DNAなど複数の器官を破壊するため、薬剤耐性ができないと考えられています。
このため長期間使いやすいお薬です。
さらに、長期投与試験により、継続的な使用でニキビが減り続けたという実験結果も出ています。
(参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ペピオゲル2.5%」)
ペピオゲルの副作用
主な副作用は以下通りです。
- 皮膚剥脱(鱗屑)
- 適用部位刺激感
- 適用部位紅斑
- 適用部位乾燥
副作用として、皮膚の皮向けや刺激、赤みや乾燥などが報告されています。
ペピオゲルを使用すると肌が赤くなると言われているのは副作用で、使用した人の一部から報告されています。
とくにこれらの副作用は使用開始初期(2週間)で多くみられます。
このため初期は少ない量から外用を始める・保湿剤を併用するなどの対策をとることがあります。
副作用と思われる症状がみられた場合は、一旦使用を中止し、今後の使用については医師に相談しましょう。
ベピオゲルの使い方と注意点
ペピオゲルは処方薬なので、正しい使い方や使う際の注意点があります。
使い方を間違えると、皮膚の症状が悪化する可能性があるので、正しい方法を理解しておきましょう。
ペピオゲルを使う際の注意点
ペピオゲルを使用する際の注意点として、以下の5つの項目があげられます。
①漂白作用
ペピオゲルには、漂白作用があります。
衣類や身近なものなどはもちろん、髪の毛や眉毛に付着すると漂白される可能性があります。
②併用注意
他のお薬と併用して使用する際、皮膚刺激が増すおそれがあります。
自己判断するのではなく、医師の診断の元、使用するようにしましょう。
③外用のみ使用可能
ペピオゲルは、外用薬なので、外用でのみ使用できます。
④粘膜には使用不可
眼や唇などの粘膜には使用できず、傷口への使用もできません。
もしも付着した場合は、早急に流水で洗い流しましょう。
⑤紫外線に注意
ペピオゲルを使用した際に、長時間紫外線に当たることは極力避けましょう。
使用するタイミングと回数
使用するタイミングとしては、洗顔後、肌が清潔な状態の時です。
使用は1日1回で、注意事項にある長時間の紫外線に当たることを避けるためにも、就寝前(夜の洗顔後)の使用がおすすめです。
塗る量に関しては、肌状態によって異なるので、処方してもらう際に医師に確認しましょう。
塗り終わった後、漂白を避けるため、指に付着した薬剤をしっかり洗い流しましょう。
ニキビ治療に効果的なベピオゲルの正しい塗り方
ニキビ治療に使用されるペピオゲルには、ニキビを治すための効果的な塗り方があります。
正しい知識を身につけ、薬の効果を最大限に発揮できるように使用していきましょう。
ニキビ治療で使用する際の効果的な塗り方
ニキビの治療で使用する際には、基本的に洗顔後すぐにペピオゲルを塗布します。
しかし、かゆみや乾燥が気になる際は、保湿剤を塗ったのちにペピオゲルを塗布しても構いません。
その際、保湿剤は病院でもらったもの、もしくは日頃使用しているものどちらでも問題ないでしょう。
さらに、前述した通り、ペピオゲルは今あるニキビだけでなく、これからできる可能性のあるニキビにも効果が期待できます。
炎症の起きた赤ニキビはもちろん、角栓のつまりから発生した白ニキビ、今はまだ目に見えていない毛穴のつまりにも作用します。
従って、ニキビのある部位だけでなく、これからできるニキビが出現する可能性のある顔全体に塗布することが望ましいです。
ただし、注意点にもあったように、粘膜の部分や傷がある場所、眉毛などの漂白の可能性がある部分は避けて使用しましょう。
ペピオゲルを塗る際の正しい手順
顔全体に満遍なく塗布するためにも、先に顔のパーツ別(額・頬・あご・鼻)に点置きし、全体に伸ばすことをおすすめします。
塗布量のムラも避けることができ、粘膜もしくは眉毛への付着も軽減できます。
顔全体に伸ばす際は力を入れず、優しく顔の中心から外側に向かって伸ばしていきましょう。
薬を塗布した後の肌に、長時間紫外線を当てることを避けるため、就寝前の使用が望ましいです。
朝起きたらペピオゲルを洗顔料で洗い流し、就寝前に塗布するという流れで使用しましょう。
ベピオゲルは内服薬との併用がおすすめ
ペピオゲルはニキビ治療に使われる外用薬です。
ニキビを根本から治療するためには、外側からのケアと内側からのケア両方を行うことで、早期にニキビが治る可能性が高まります。
内服薬と併用することのメリット
内服薬として、抗生物質が処方される場合があり、ニキビに関与するアクネ菌への殺菌作用や炎症を抑える作用が期待できます。
抗生物質の中には、比較的副作用が少なく長期の服用ができるタイプがあり、長期的な治療が予想されるニキビ治療で用いられることが多いです。
外用薬だけでは効果をあまり感じられない場合でも、内服薬と併用して治療することにより、改善が促されることがあります。
また、ニキビなどの肌荒れに効果的なビタミンB群やビタミンCなども処方されることがあり、美肌に必要な要素を取り入れることで快方に向かうケースもあるのです。
ニキビの原因は人それぞれで、アクネ菌の増殖だけでなく、ホルモンバランスの乱れや栄養不足など、さまざまな要因が重なっている可能性があります。
ニキビの治療では、内からと外からのあらゆる方向からアプローチできるので、自分に合った方法を模索するという意味でも、内服薬との併用も検討してみましょう。
内服薬と併用する際の注意点
抗生物質やビタミン剤が自宅にあるからという理由で、むやみに併用することはやめましょう。
併用する際は、ベピオゲルとともに処方されたもの、もしくは医師に相談して併用が問題ないと判断されたものだと安心です。
また、効果を早く実感したいがために、用法以上の内服薬を服用することや、効果を実感しないまま長期で薬を服用し続けることは避けましょう。
抗生物質を長期で飲み続けると、薬剤耐性菌ができてしまう可能性や、胃腸を荒らしてしまう場合もあります。
病院で診察を受けて処方してもらうことで、適切な量を適切な期間服用できます。
恐れる必要はありませんが、処方薬なので、自己判断で併用または服用することはやめましょう。
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