2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。
その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくANS.の立ち上げに参画。ANS.クリニック院長。
この記事を読んでいるあなたは、
- トラネキサム酸はどんな効果があるのか
- トラネキサム酸はどこで手に入れられるのか
- シミや肝斑にトラネキサム酸が効くと聞いたけど本当なのか
上記のように考えているかもしれません。
そこでこの記事では、トラネキサム酸の効果をはじめ、正しい使用方法や注意点、処方薬と市販薬の違いなどについて解説します。
シミやそばかすなど、加齢にともなう肌トラブルの解消に役立つ内容なので、当てはまる肌悩みがある人はぜひ最後までご覧ください。
トラネキサム酸の効果や副作用を徹底解説
ここではトラネキサム酸の効果やはたらき、副作用を徹底解説します。
シミ治療になぜ必要かがわかるので、シミやそばかすに悩む人はぜひ読んでください。
トラネキサム酸の効果はシミの元「メラニン抑制」
トラネキサム酸とは、人工的に生成されたアミノ酸の一種で、主にシミや肝斑の治療に使われます。
トラネキサム酸の効果のひとつに「メラニン生成抑制作用」があります。
シミの元になるメラニンはメラノサイトが産生しますが、トラネキサム酸はこのメラノサイトの活性化を抑えるため、シミや肝斑の治療で処方されています。
またトラネキサム酸は、メラニン色素を生成する上で欠かすことのできない、プロスタグランジンなどの物質を抑制するはたらきをもちます。
プロスタグランジンも炎症に関わる物質で、解熱鎮痛剤としてよく使われるロキソプロフェンもこのプロスタグランジンの酸性を抑えることで効果を発揮します。
さらにトラネキサム酸は「抗プラスミン作用」で炎症反応やアレルギーを抑制するため、喉の痛みなど一般的な風邪症状にも用いられます。
トラネキサム酸の炎症を抑える効果は、シミを薄くする効果ともつながり、今あるシミへの対処にも期待できます。
10代や20代などの若い世代であれば、肌の代謝やターンオーバーが盛んなため、多少メラニン色素が生成されたとしても、シミになってしまうリスクは少ないでしょう。
しかし、年齢とともに肌のターンオーバーが低下し、代謝も落ちていくため、どうしてもメラニン色素が蓄積しやすくなってしまいます。
そのため、30代以降の方がシミを予防していくためには「メラニン色素を生成させない」ことが重要で、メラニン色素を生成させないようにするのがトラネキサム酸です。
トラネキサム酸のはたらき
ここから、トラネキサム酸のもつ「メラニン生成抑制作用」のはたらきを詳しく解説します。
人間の表皮の9割以上を占めているのが、ケラチノサイトという表皮細胞です。
ケラチノサイトは、紫外線や女性ホルモンの影響を受けると、メラノサイト(表皮の最下層である基底層に存在する色素細胞)の活性化因子を産出してしまいます。
メラノサイト内では、チロシンというアミノ酸がシミの元であるメラニンに変化し、周囲のケラチノサイトへ次々と受け渡されるのです。
メラニン自体は、紫外線を吸収し肌細胞をダメージから守る役割があり、人間にとってプラスの一面もあります。
しかし、生成されたメラニンがケラチノサイトに過剰に溜まっていくと、メラニン色素が肌に沈着して、シミや肝斑ができあがってしまうのです。
ここで、抗プラスミン物質として知られるトラネキサム酸を使用することで、メラニンを生成する色素細胞であるメラノサイトの活性化因子を阻害します。
このトラネキサム酸のはたらきにより、メラニンの生成プロセスは早い段階でブロックされるのです。
また、色素沈着が起きてシミがある部位に関しても、抗炎症作用やメラノサイトの活性化が継続的に抑えられる効果も加わった結果、美白効果が期待できます。
トラネキサム酸の副作用
トラネキサム酸は、基本的に副作用が起きる確率は低く、安全性の高い薬品と認識されています。
使用上の注意を読んで正しく服用すれば、身体に悪影響が出るような薬品ではありません。
しかし、薬品である以上は、副作用などが起こる可能性はゼロとは言い切れず、稀に副作用がでる場合もあります。
- 発疹
- 悪心
- 嘔吐
- 下痢
- 眠気
- 胸やけ
- 食欲不振
- 皮膚の痒み
以上が副作用として報告されている症状ですが、人工透析患者の一部に痙攣があらわれたという報告もあるので、該当する場合は注意が必要です。
また、トラネキサム酸は止血作用に優れているので、以下の症状のある人は、慎重に服用すべきです。
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 腎不全の患者
- 血栓性静脈炎
- 消費性凝固障害などのある人
- 血栓に関わる病気である脳梗塞
- 術後の臥床状態にある患者及び圧迫止血の処置を受けている患者
さらに、副作用で血栓症のおそれがあるピル(経口避妊薬)は、トラネキサム酸との併用で血栓症リスク上昇が疑われる見方もあるため、同時服用の際は医師に相談しましょう。
トラネキサム酸を服用する際の注意点
トラネキサム酸を安全に服用するためには、いくつか注意点があります。
特に持病がある人には、重要な症状になる可能性があるので、目を通しておいてください。
医療におけるトラネキサム酸の用法用量
医療におけるトラネキサム酸の用法用量は「通常成人1日750〜2,000mgを3〜4回に分割経口投与する」とされています。
また「通常成人1日250〜500mgを1〜2回に分けて静脈内又は筋肉内注射する」方法もあります。
トラネキサム酸には経口薬や注射薬があり、どちらの方法もたしかな効果が認められています。
比較的安全性の高い薬ですが、指定された用法用量以上に摂取したり、ランダムに服用したりする方法は、体に負担がかかるでしょう。
用法用量以上に服用しても、効果が高まることはないので、決められた用法用量を守りましょう。
トラネキサム酸の禁忌事項
トラネキサム酸は「トロンビンを投与中の患者への使用が禁忌」とされています。
トロンビンとは止血剤として用いられる薬剤であり、トラネキサム酸と成分が合わさることで、血栓ができやすくなってしまうため併用はできません。
何らかの疾患を治療するためにトロンビンを使用しているという方は、必ず医師に申し出るようにしましょう。
服用していたトラネキサム酸をやめた場合
トラネキサム酸の服用をやめると、抑制していたプラスミンがはたらきはじめるため、シミや肝斑が再発することがあります。
服用をやめたいと思ったときは、他の薬剤に変更するなどの方法もあるので、できるだけシミが再発しないように対処することをおすすめします。
シミや肝斑の改善が目的でトラネキサム酸を服用している方にとって、服用期間は気になるポイントですが、基本的にトラネキサム酸は長期間服用しても問題ありません。
ただし、服用期間やシミ・肝斑の再発には個人差がありますので、気になる点がありましたら医師や薬剤師に相談するようにしてください。
肌トラブル解消に役立つ正しい使い方
トラネキサム酸を使用し、肌トラブルを解消するためには、正しい使い方を身につける必要があります。
トラネキサム酸の主な取り入れ方として、内服薬と化粧品があるので、それぞれの正しい使用方法を紹介します。
内服薬
トラネキサム酸の内服薬を使用する際は、1日に決められた量を、決められた用法で服用しましょう。
処方される薬は、1錠あたりのトラネキサム酸の含有量が異なるので、医師や薬剤師に指定された量を飲みます。
また、トラネキサム酸の内服薬は、飲み始めてすぐに効果がわかるわけではありません。
すでにできてしまったシミのメラニンが排泄され効果を実感できるまでに、最低でも3ヶ月程度の期間が必要だと考えられているため、一定期間は飲み続ける必要があります。
長期間服用してもなかなか効果を実感できない場合は、他の処方薬に変更した方がよい場合があるため、医師に相談しましょう。
化粧品
内服薬での内側からのケアと同時に、トラネキサム酸配合の化粧品で、外側からのケアを行うことをおすすめします。
内服薬同様、化粧品も即効性が期待できるものではないため、継続してコツコツ使用する必要があります。
一般的には、スキンケア製品の中でも特に美容液に美容成分が多く含まれている場合が多いので、より効果を実感したい人は、トラネキサム酸配合の美容液を取り入れましょう。
美容皮膚科でも、トラネキサム酸または他の美白系スキンケア製品を販売していることもあるため、処方時に医師に相談してみてもいいかもしれません。
クリニック専売コスメなど、市場には出回っていない優秀なアイテムに巡り会える可能性があります。
紫外線の強い季節は守りのケアがおすすめ
美容業界では夏は「守りのケア」の季節とされているため、シミやそばかすなどの積極的な治療を行うことはおすすめできません。
積極的な治療とは、レーザーやIPLなどの治療で、これらの治療は紫外線のダメージを受けやすい治療といえます。
そのため、1年で最も紫外線量が多い6月〜8月にかけては、守りのケアがおすすめです。
紫外線のダメージを最小限にするために、コツコツと飲み薬を使用したり、化粧品でのケアを継続しましょう。
そして、紫外線量が落ち着く季節に、必要であればレーザーやIPLなどの治療を、飲み薬や化粧品と併用して行うことをおすすめします。
トラネキサム酸の処方薬と市販薬の違い
トラネキサム酸には処方薬と市販薬がありますが、同一のものではないため、何がどう違うのかを解説します。
一長一短あるため、これからシミ対策として取り入れる人は、参考にしてください。
市販薬の特徴
市販薬とは、処方薬よりも主成分の含有量が少なく設定されているもので「一般用医薬品」のことです。
市販薬は、医師の処方箋がなくても手に入ることから、家庭薬や大衆薬とも呼ばれています。
厚生労働省のホームページでは、一般医薬品として「第1類医薬品」と「第2類医薬品」、そして「第3類医薬品」の3つに分類されています。
これらの市販薬は、ドラッグストアなどでも気軽に購入できる点から、便利なアイテムとして知られています。
しかし、主成分以外にも、万人受けする成分などが添加されているため、ひとりひとりの肌に合わせた薬とはいえないでしょう。
処方薬の特徴
処方薬とは、病院など医療機関で医師による診断を受け、処方箋を発行してもらったうえで購入できる医薬品のことです。
市販薬に比べると成分の含有量が高い傾向がある反面、副作用にも注意を必要とするものが多く、処方箋をもとに薬剤師が調剤しなければなりません。
ただし、患者の症状に合った薬品が処方されるため、その分症状の緩和や治療に適した医薬品が多いといえます。
より早く効果的にシミ治療を行いたい場合は、自分の肌状態に合わせて処方される処方薬での治療がおすすめです。
美白に効果的な処方薬はトラネキサム酸だけではありません
美白に効果的な処方薬はトラネキサム酸だけでなく、さまざまな有効成分が存在するので、肌悩みや肌状態に合わせて多方面からアプローチできます。
複数の処方薬を肌に合わせて組み合わせられることが、処方薬と市販薬の大きな違いであり、オーダーメイドの美肌処方薬が作れることも大きなメリットです。
ユベラ
ユベラには強い抗酸化作用がある「ビタミンE」が含まれているため、肌老化の原因である酸化を抑制します。
生きているだけで発生してしまう酸化による肌へのストレスを抑え、健康的な肌に導きます。
シナール
ビタミンCと、その吸収を助けるパントテン酸が含まれています。
2つの作用により、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぎます。
また、肌のコラーゲン生成を促進する効果もあるため、肌のハリやツヤのアップが期待できます。
ハイチオール
メラニンの生成を抑え、新しくできるであろうシミやそばかすを防止します。
ターンオーバーを促進し、今あるシミやにきび、肌荒れの改善効果が期待できます。
肌の炎症や、赤みの改善にも有効であるため、さまざまな肌悩みに処方される薬です。
タチオン
有効成分であるグルタチオンは、非常に強い抗酸化作用と解毒作用があります。
身体のサビである酸化によるダメージを軽減し、肌の老化やシワ、シミを改善する効果が期待できます。
ハイドロキノン
外用薬として有名なハイドロキノンは、強力な漂白作用があり、またメラニン産生を抑える作用も持ちます。
シミを根本からなくし、白くて透き通るような肌になる効果が期待できる薬です。
トレチノイン
トレチノインはビタミンAの誘導体で、通常の100倍の生理活性作用があります。
生理活性作用により、強力に肌のターンオーバーを促進し、新しい肌の細胞を作りだすのです。
肌のターンオーバーが生じる際にシミの原因となるメラニンが排泄され、美白効果が期待できます。
またトレチノインで古い角質をピーリングすることで、トーンの上がった若々しい肌にする効果も期待できます。
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