2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。
その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくANS.の立ち上げに参画。ANS.クリニック院長。
治療をしている方の中には、夜中におなかが空くという方もいらっしゃるのではないでしょうか。「あれ、さっき食べたばかりなのに?」と、ふとした瞬間に戸惑いを感じることもあるかもしれません。
多くの人が経験する「どうしても何か口にしたい」という感覚。
実はその食欲、お腹ではなく脳のメカニズムが引き起こすサインである可能性があります。今回は、治療中に現れる一時的な食欲の正体と、その適切なコントロール方法について整理していきましょう。
オンラインクリニック「ANS.(アンス)」
実は「脳のエネルギー不足」かも
治療中であっても、急に甘いものや脂っこいものが欲しくなることがあります。そんなとき「自分の意志が弱いせいだ」と感じるかもしれませんが、そうではありません。
私たちの体には、睡眠が不足したり疲れが溜まったりすると、脳が「エネルギーが足りない!」とパニックを起こし、手っ取り早く元気になれる高カロリーなものを欲しがる仕組みがあります。
つまり、実際にお腹が空いているというよりも、脳の回復不足によるサインを「空腹」と勘違いして受け取っている可能性があるのです。
睡眠とお薬の意外な関係
治療を進める上で、土台となる「体のリズム」は欠かせません。
特に睡眠は、代謝や食欲に関わるホルモンのバランスを整える大切な時間です。
睡眠が不足すると、食欲を抑えるホルモンが減り、反対に食欲を高めるホルモンが増えるなど、食欲のコントロールが乱れやすくなることが知られています。
せっかくお薬で食欲をコントロールしようとしているのに、寝不足による影響のせいで脳が「食べろ!」と命令を出してしまっては、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもの。これでは、どんなに頑張り屋さんの方でも疲れてしまいますよね。まずは体のリズムに目を向けてみることが大切です。
食欲を増幅させてしまう「脳のバグ」
では、なぜ脳は「食べろ」という誤ったサインを出してしまうのでしょうか。
ここで一つ、見落とされがちな事実をお伝えします。
「寝る前にスマホを見ながらリラックスしているつもり」が、実は脳を一番疲れさせているかもしれないということです。
暗い部屋でスマホの強い光を浴びると、脳は「今は昼間だ」と錯覚し、覚醒してしまいます。これがいわゆる「脳のバグ」です。体が疲れているのに脳だけが興奮し、そのストレスを解消するために「偽の食欲」を連れてきてしまうのです。
捉え直しの提案:食べる代わりに「脳を休める」
もし夜に「何か食べたいな」と感じたら、それを空腹ではなく、「脳が疲れたよ、休ませて」という合図として受け取ってみませんか。
「食べちゃダメだ」と根性で我慢するのではなく、「脳のリセットのために体を休める」と、目的をスライドさせてみるのです。
<睡眠前に「脳のリセット」>
- スマホを置いて、画面の光を遮断する
- 白湯やノンカフェインの飲み物で、お腹を温めてリラックスする
- 「いつもより15分だけ早く布団に入る」と決めてみる
これだけで、翌朝の食欲コントロールがぐっと楽になるはずです。
「早く寝ること」も健康管理の一環として大切です
完璧にできなくても、全く問題ありません。まずは「食欲の正体は疲れだったのかも」と気づくことが、大きな一歩となります。
今夜はいつもより少しだけ早く画面を閉じて、自分を休ませてあげてください。
しっかり眠ることは、お薬を飲むのと同じくらい、あなたの大切な治療の一部なのですから。そのままのペースで、また明日から一緒に歩んでいきましょう!
